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『Introspect』 / Ko Omura(ds) 

DMCD-12税抜2381円+税

 


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『Introspect』 / Ko Omura(ds) 


 

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ライナーノーツ

 

 

音楽空間を拡げるドラマー

 わたしは、大村亘のドラムスを評価してきた。好きだ、と言った方が、気持ちに近いかもしれない。理由はいくつかあるが、今回、彼がすべての曲を作曲したデビュー作「Introspect」を聴き、それがはっきりした。
 まず、その広い音楽的視野である。それは、彼が幅広い音楽を聴き、演奏できるという意味もあるが、それ以上に、一瞬にして曲がもつエッセンスをつかみ、その世界を拡大する力を、ドラマーとしての彼がもっているということだ。
 全曲が彼自身の作曲だから、今作でのその印象は、なおさら強いものになった。亘の作曲が、ドラマーとしてのその視野を共有し、広大な地平をもっていることを、大きな歓びとともに聴いた。
もしかしたら、その音楽的傾向が一様ではないことに、驚く聴き手もいるかもしれない。しかし、彼は、ここで意図的に多様な音楽を提示しているのではなく、彼自身が心から書きたいと願った曲を書き、演奏しているのだ。その意味で、彼は非常に一徹な音楽家でもある。

 「多様にして一徹」というテンデンシーは、大村亘がアメリカ、オーストラリア、日本と複数の国で成長したことと無縁ではない。世界がひとつであるように、音楽はひとつだ。しかし、そこには多様な種、多彩な表現があってしかるべきだということを、彼は体験として知っているのである。
 だから、このデビュー作に彼がピアニストを3名迎えたことも、わたしにはたいへん自然なことに思えた。ハクエイ・キム、佐藤浩一、そして石田衛。亘は思ったはずだ。今作にとっては、どのピアニストも必要不可欠で、だれか一人に絞ることは自分にウソをつくことになる、と。
 ただ、M2. M6.M8と3曲において3人のピアニストに同時演奏をさせたことは、こちらの予想を超えていた。それぞれが独立していながら調和がある、3人の同時演奏をというプランは、先に触れた亘の体験をぬきには生まれえず、また成功したとは思えないのである。

                     ◆      ◆      ◆

 アルバムは、「North Head」で幕を開ける。亘の冒頭のシンバル・ワークが、ハクエイ・キムのピアノに語らせる。亘は自身も歌うが、共演者を歌わせることに長けたドラマーだ。
 音と音の間をあえてとり、その行間で音楽を描く手法に、(現代音楽の影響というよりは)日本的な美意識を感じる「Left Ahead」。
 石田衛をピアノに迎え、安田幸司とトリオでスウィングする「Ajita」。
 ダブの要素をもち、かつ詩情にあふれた「Where Did You Come From?」。こういったレイディオヘッド的な乾いた雰囲気をもったドラミングも、また上手い亘である。
佐藤浩一がピアノを弾いた、リリカルで美しく、どこかに楽しさも感じさせる「Slow Highway」。
アブストラクトな「The Modern Commuter」も、3人のピアニストを迎えて。そこにバトルはなく、しかし妥協はさらにない点を評価したい。この曲でのドラミングは、聴きものだ。
限りないやさしさを聴かせる「Melody For The Long Lasting Days」。石田のピアノも泣かせるが、亘のブラシが聴き手の心を癒していく。
 3人のピアニストの同時演奏と、それを支えるドラムスの力強さ・大きさが圧巻な、最終曲「Made To Forget」。
 と、曲想は違っても、作品中のすべての曲で、亘は同じ試みをしている。それは、広大な音楽空間を提示することである。そして、聴き手はその空間のなかで、自由に内なるサムシングを拡張することができるのだ。

                     ◆      ◆      ◆

 正直に音楽と向かあいたい。好きな音楽をやりたい。亘の告白が、「Introspect」から聴こえてくる。
 それは、愛し吟味したことばしか口にしない詩人にも似ている。それを、眉間にしわを寄せて遂行するのではなく、明るい笑顔でやってのける人間性も好ましい。
 その意味で、彼は決して器用な作曲家/ドラマーではないが、それは彼の優れた美質でもある。それを誇りに思ってほしいと、願っている。

 どんな曲を演奏しても、誰と共演しても、彼のドラムスは小さな空間では終わらない。その広大さは、あるときはジャズの未来を感じさせ、わたしの胸に希望を灯す。
音楽を拡大するドラマー。それが、大村亘なのである。

                     2011年5月記

                     中川ヨウ / Yo Nakagawa

 

 



 

Design


北川正 (Kitagawa Design Office)

 

 



 

Photo


Photo Work by Vito Mir  http://www.vitomirr.com/




 

 

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